国の無形文化財に指定されている、奥州市の「蘇民祭」のポスターがセクハラ扱いをされ、JR東日本から掲示を拒否されたいたことが報道された。
なんでも、1000年も続く裸まつりとかで、その伝統と格式は、何代にもわたって、受け継がれてきた。
本当は、すべて、全裸で行われ、明治あたりまでは、女性も裸で参加していたものらしい。
いつしか、いまのように、ふんどしを締めて行うことが、主流になったとか。それでも、全裸の参加者はいまも存在する。
そんな、お祭りの今年のポスターを残念ながら、JR東日本は、掲示を拒否したのだ。
構図が不快感を催すかもしれないからというのが、判断理由だそうだが、このような、自主規制が今、日本に蔓延している。
訴訟社会、クレーマー社会、何でもかんでも、個の人権に配慮しすぎて、日本人としてのシンパシィを失わせる方向になってはしないかと本当に心配になる。
裸というだけで、無形文化財が規制されてしまうという本末転倒。何かおかしくはないだろうか。
日本のまつりには、男根をかたどったり、性交そのものを題材とするものが、各地に残っているが、これらの伝統文化を「だれかが不快感を催すかもしれない」と切り捨てるとしたら、JR東日本に、日本の旅を先導する資格はないのではなかろうか。
マスコミも含めて、他愛もない裸の映像がイコール、セクハラと判断を下すようになったのは、いつからだろうか。
一方で、明らかに扇情的なポルノ雑誌や映画、幼児ポルノを彷彿とさせるマンガ本などは、堂々と店頭に並べられ、公の場に掲示され続けている。
そして、今回のまつりや、アマゾンの原住民の裸にぼかしを入れる感覚は、本当に異常で、まったくおかしなモノサシがこの国には存在するのだ。
裸=忌み嫌うものだろうか。日本のモノサシは基本的に裸=神聖なもの、実は、ギリシャの昔のオリンピックが全裸で行われていたのも、神に捧げる行事だったからだ。
いわゆる、「事なかれ主義」の典型。表現の自由なんてことではなく、日本の伝統文化としての裸、神聖な生まれたままの姿が否定されることへのアンチテーゼを語れる人間がいなくなって、偽善的で表面的なクレーマーの意見に配慮する、なんとも、情けない状態に陥っているのかもしれない。
今回のモデルとなった、男性は「私のヒゲや胸毛が不快感をおよぼすというのか、私は、20年もこの祭りに参加をさせていただき、1週間、乳製品や肉を口にせず、精進をして参加してきた、この体を生んでくれた親に感謝している(趣旨)」と語っていた。
写真家は、わざわざポーズをとって撮ったのではなく、勇壮な祭りの風景の一コマ一コマをいつも使っているということで、なぜに、今年のポスターだけがこのような扱いを受けるのかわからないという。
この男性や撮影者、そして、奥州市の皆さんにとって、この屈辱的な判断は許せないことだろうし、JR東日本に、旅を語る資格はなくなったと私は判断いたします。
以下転載
裸祭りのポスター掲示断る 「不快感を懸念」とJR
2008年1月8日 21時21分
JRに掲示を断られた「蘇民祭」の観光ポスター 、
岩手県奥州市の黒石寺で1000年以上の歴史がある「蘇民祭」の観光ポスターを、市がJRの駅構内に掲示しようとしたところ、JR東日本盛岡支社が「ポスターは客に不快感を与えるかもしれない」と断っていたことが8日、分かった。
ポスターは写真3枚を組み合わせたもので、ひげ面に胸毛がある男性が大きく掲載され、奥に下帯姿の男性らがいる。市によると、祭りのポスターは数十年作製してきたが掲示拒否は初めてで、市は印刷枚数を200枚減らして1400枚とし、駅で張れない分は市内に手厚く張るほか、首都圏の観光施設などにも掲示を依頼する。
昨年11月28日に市がポスターの版下を盛岡支社に持ち込み掲示許可を求めた。JR側は本社に相談し、12月3日に図柄を変えない限り掲示できないと伝えた。市は一部修正したものの、ほかに画像がなく、日程や予算の問題からも、全面的な変更は難しかったという。
(共同)
蘇民祭ポスターにJRがNO! ・・・ 19:46 更新
奥州市の奇祭、黒石寺・蘇民祭の今年の観光ポスターがJRから掲示を断られていたことが分かりました。
今年のポスターには、下帯姿の男衆や男性の上半身を大きく写した写真など迫力ある祭りの写真が使われています。作成した奥州市は例年通り、関東などJRの主要な駅に掲示しようと申し込みましたが、先月、JR側から「やや過激な表現があり、デザインを変えない限り、公共の場である駅には掲示できない」と回答がありました。奥州市水沢総合支所の佐々木禅 商工観光課長は「今思うとインパクト強すぎたかなと。 これはこういう祭りだからいいと思ったんですが」と話しています。駅にポスターを掲示できないのは今回が初めてということですが、奥州市ではポスターの枚数を1600枚から1400枚に減らし、駅で貼れない分は各地の観光協会や道の駅に発送して掲示してもらうことにしています。国の無形民俗文化財にも指定されている黒石寺の蘇民祭は無病息災・五穀豊穣などを願って裸の男たちが蘇民袋を奪い合う伝統行事で千年以上の歴史を持つと言われ、今年は来月13日の夜から行なわれます。
[裸祭りポスター]JR東が「待った」…女性が不快感
2008年01月08日02時44分
岩手県奥州市の黒石(こくせき)寺で繰り広げられる伝統行事、蘇民祭(そみんさい)の観光ポスターを市が駅構内に掲示しようとしたところ、JR東日本から待ったがかかった。「男性の裸に不快感を覚える客が多い」というのが理由だ。数十年作製しているポスターの掲示拒否は初めてで、市は枚数を200枚減らして1400枚とし、駅で張れない分は市内や首都圏で張るという。
祭りは、市内水沢区黒石の寺で裸の男衆が蘇民袋の争奪戦を繰り広げる。疫病よけや五穀豊穣(ほうじょう)などを願い1000年以上続くとされる。今年は2月13日夜~14日未明を予定している。
ポスターは写真3枚を組み合わせ、ひげ面で胸毛の男性がアップに、奥に下帯姿の男性たちを配している。
昨年11月30日に市がJR東日本盛岡支社に許可を求めた。JR側は本社の判断を仰ぎ、12月3日に図柄を変えない限り掲示できないと通知した。市は下帯など一部修正をしたものの、版下がほぼ完成しJRが求める図柄の全面変更は困難だった。
JR東日本盛岡支社の佐藤英喜・販売促進課副課長は「セクハラが問題になる中、公共の場でのポスター掲示の基準は厳しくなっている」と説明する。そのうえで「単純に裸がダメというわけではないが、胸毛などに特に女性が不快に感じる図柄で、見たくないものを見せるのはセクハラ」と判断したという。
奥州市水沢総合支所の佐々木禅(ゆずる)商工観光課長は「市と業者とで図柄を決めた後(の掲示拒否)で、日程的にも変更はできなかった」としたうえで「観光客が減るかもしれないが、市内に集中的に張ったり、首都圏の観光施設に掲示をお願いしたりして祭りを盛り上げたい」と話している。【石川宏】