医療の限界 自治体病院のあり方を改めて確認。


「医療の限界」を読みました。
ブログ上でのやりとりで、この本がかなりの影響力をもっているということを知って、読ませていただいた。
思っていたより、現在の医師や医学界に対して厳しい見方をしているなぁという印象だった。
ネット医師の皆さんが強調される「医療の限界」という題名が本当に適当だったのかどうかと思われるほど、医療改革に前向きな提言もあって、本当に勉強になった。

大阪市では、総務省の締め付けで、無駄遣いの元凶のように扱われる病院の再編計画が浮上している。
確かに、ムダな公務員の温床となっていたが、病院総体としての経費削減は、医師や看護師にも追い打ちをかけ、魅力のない病院となってしまい、いわゆる立ち去り型サボタージュが相次いだ。
北市民病院の医師は、半減。麻酔医がいないことから、手術がここ3年できず、診療報酬は下がる一方、病床も激減して機能不全に陥っている。
院長先生にこの間、ご挨拶に行ったが、公立病院は、不採算医療を扱うのが使命であり、もっと特化した病院にしたかったと苦渋を述べておられた。
公立病院の7割が危機的状況にあり、診療所化することが見通されているが、思い切って公的医療を守るために、予算措置を講ずる自治体は少ないというか、できない。
ほとんどの自治体では、医師の意見が反映されることなく、自治体財政の健全化が優先されることになってしまう。医師会が弱体化し、勤務医もあきらめ、役人は付け焼き刃を繰り返すことが常態化している。

「医療の限界」は、そんな我が国の医療危機の状態の中で、書かれたことから、おそらく、医師のバイブル的な存在となっているのではと思った。

私としては、自治体病院崩壊の指摘については、多くの示唆を得た。

以下、抜粋

 現在の医療への攻撃は、民主主義そのものに内在しているようにもみえます。現在、地方公共団体の病院で医師の大量辞職が目立っています。地方公共団体では、地方公共団体としての縛りがあり、迅速な意志決定ができにくいこと、また、事務職員が県や市の職員であり、病院運営のプロとなっていないことが、経営を悪化させる原因となっています。しかし、何よりも、有権者と地方議員の距離が近く、いわば直接民主主義に近い形になっていることも崩壊の大きな原因になっているようにみえます。議員は有権者(=患者側)からの要求や苦情を客観的に評価することなく、そのまま病院にぶつけます。院長は議員の無理難題を反論もせずに、そのまま現場に伝える。これが院長の保身につながる。ぎりぎりの状況で働いている医師は、患者のわがままがまかり通る事態にある時点で辞職を決意します。残った医師に負担がかかり、やがて大量辞職になってしまう。
 

このあたりは、かなり耳の痛い話で、患者の要求は際限なく広がる、役人の論理では、議員のいうことを聞いて穏便に済まそうということになると、病院の負担が増し、効率を度外視したものになる。そうなると、今度は議員から効率的でないと指摘されるという不条理の世界に入り込んでしまう。それが今の自治体病院の崩壊につながっているように思う。

 北市民病院では、総合病院としての位置づけ、つまり患者にとってコンビニエンスな診療メニューをそろえるという患者側の要求をあまりにも受け入れすぎたのではないだろうかと思う節がある。そして、臨界点に達したときに、爆裂したという感じだ。大阪市の北地域は総合病院も多く、医療過密地帯。競争力を失った病院が地域ニーズに応えることはできない。今も近隣住民は、公的医療機能の継続を求めているが、あくまでも地区病院ではなく、市民病院であることを考えると、地域医療は近隣の私立病院にまかせて、真に補助金を投入しなければならない医療に特化した体制をとる必要があったのだろう。

 小松氏が指摘するように、医療ニーズへの過敏な反応は厳に慎むべきだろう。しかして、医療行政、医療知識にもった、第三者的な機関が常にコントロールできるような仕組みも必要だし、医師や看護師の現場の意見がすっと引き上げられるようなシステムがないと病院としての経営も機能も維持するのは難しい。私立の病院も経営は厳しいだろうが、補助金もなく、維持運営できているということは、医師や看護師への報酬とコスト削減の取り組み、患者満足度などのバランスが自治体病院に比べていいということなのだろうか。

 3年前に「病院のあり方検討会」を立ち上げ、公営企業法の全部適用までこぎ着けたが、総務省の改革圧力の波が襲ってくる。税収が激減するなか、公的医療は守らねばと思うが、第一次経営改善計画から第三次まで、正直、達成した試しがなく、近く提示される大阪市の改革プランにも、あまり期待していないのだが、今春から「病院局」として新たなスタートを切るだけに、130億あまりの不良債務を極力解消し、すっきりした病院運営ができるよう、議会としても力を尽くしたいと思う。

 

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カテゴリー: 医療問題

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