民主がいかに抵抗しようと定額給付金は実施されるが、経済のいろはの解らぬテレビタレント経済人の浅はかさを嗤う


何とも、減税を提唱しながら、似たようなものである定額給付金を否定する民主党、社民党。知っていながら、その矛盾を追及しないマスコミ。

米国、台湾、フランス、イタリア、ドイツ、オーストラリア、韓国、タイ、中国と、景気刺激策は、基本的に減税と相場が決まっており、後は、戻し税にするか、税金を引くのを止めるか、この方式しか存在しない。

経済学の上では、減税は、景気刺激策のいろはである。

もちろん、公共投資も景気浮揚策のひとつではあるが、効果が出るには時間がかかる。これも、いろは。

その根本的な認識ができていなかった自称経済学者や評論家が民主党とマスコミの口車に乗って定額給付金反対を叫ぶ姿は誠に滑稽だった。

良識有る学者の声は封殺され、葬られようとしたが、オバマの夫婦10万円の景気刺激策は、あまりにもインパクトが大きい。

オバマの74兆円経済政策をフリップにまとめながら、夫婦10万円を読み飛ばす、コメンテイターやキャスターの姿を見ると、何とも哀れを感じる。

政策は正しく、額が少なすぎるとやれば、消費も喚起できただろうし、広告主からもそっぽを向かれることはなかっただろう。

マスコミのおかげで、財布の紐は締まりっぱなしだ、広告料を減額しろと、いいたくなる気持ちもわからないではない。

政権のフィクサー気取りで、メディアが権力を操作できるとの思い込み、ナベツネを気取った現象は、すべてのマスコミを毒牙にかけたようだ。早晩、その結果は歴然とするだろう。

 

以下、保田隆明氏の定額給付金に対する見解

保田隆明(ワクワク経済研究所LLP代表)

【第18回】 2009年01月22日

マクロ経済学の大原則を無視した
「定額給付金」懐疑報道に感じる違和感

――定額給付金の議論に欠かせないマクロ経済学の知識

 

  先日、とあるニュース番組から「定額給付金」に関してコメントを求められた。そのやり取りの中で、果たして給付金の政策的意味合いや効果をどれほどテレビ側が理解しているのかとやや不安になった。

 そこで、今回はマクロ経済学の基本のおさらいである。好景気時には、特に経済学のお話など必要ない(むしろ経営戦略論が必要とされる)が、不景気時こそ経済学が注目を集めるものである。

不景気な時こそ、
政府の役割は重要

 不景気時に政府が財政出動や減税により景気を刺激するのは経済学の基本である。定額給付金は、個人の消費欲を喚起し人々にお金を使ってもらうことで、景気にプラスのインパクトを与えようとするものなので、それ自体はさほど問題のある政策ではない。

 マクロ経済学の基本を思い返すと、一国の経済の基本形は Y=G+I+C、つまり、国民所得は、政府購入(公共投資など)、民間投資、そして消費の合計であることを思う出す方も多いだろう。政府は右辺を増やすような政策を導入することで、景気への刺激を与えようとする。右辺のうち、政府が直接いじることができるのはG(政府支出)の増加である。そこで、普段は悪者扱いされがちな公共投資も、不景気時ばかりは賛同を得やすくなる。

 なお、政府購入金額の増加が国民所得に与えるインパクトは、乗数効果によって大きくなる。たとえば、日本における限界消費性向が0.6ならば、政府購入が1増えれば、1÷(1-0.6)=2.5となり、国民所得は2.5増える計算となる。この乗数効果の影響は大きい。

(乗数効果の直観的理解は、たとえば私がパンの購入量を増やすと、パン屋は小麦の購入量を増やすというように、連鎖的に購入金額が増えていく様子である。また、限界消費性向とは、所得が1増えた時に、どの程度人々が消費を増やすかの割合である)

 ただ、いくら乗数効果があるとはいえ、このような100年に1度の不況下では、G(政府購入)を増やすだけではなく、C(消費)やI(民間)も増やしたいところである。政府が民間企業や個人の投資や消費行動を直接変化させることはできないが、減税で消費を刺激することは可能であり、投資に関しても投資減税は効果的である。

 実際、右辺ではC(消費)の占める割合が最も大きいので(日本では50%超、アメリカでは60%超)、ここを最も刺激したい。

「減税も給付金もなし」では、
景気は上向かない

 不景気時には減税策を採るのが王道である。実際最近では、イギリスで日本の消費税に当たる付加価値税の税率の引き下げが、そしてアメリカやドイツでは所得税の減税が発表されている。

 一方、日本では、住宅ローン減税の拡充や中小企業に対する特別税制措置などは行われる予定だが、消費税や所得税の引き下げという話にはなっていない。その代わりに定額給付金を実施するという方向である。この国民にお金を配るという政策は、減税以外での消費刺激策となりうる。定額給付金に似たようなものは、去年アメリカでも実施され、アジアでは台湾や韓国でも行われる。

したがって、定額給付金がダメだと言うのであれば、それよりも減税の方が効果的だという議論が展開されるはずである。しかし、テレビメディアの議論ではどうもそのようにはなっていない。

 もっとも、給付金を配っても減税を実施しても、消費者は増えたお金を全部貯金してしまうだけで消費刺激効果はゼロだ、という意見もある。実際、過去の経緯からも何割かが貯金に回されてしまうのは間違いない。よって、景気浮揚に対する政策の効率性の観点からは、給付金や減税よりもG(政府購入)の引き上げや、I(民間投資)を刺激しようということにもなる。

 しかし、だからと言って減税も給付金もナシ、というわけにもいかない。このような非常時には、政府支出も増加させるし、消費の刺激策(減税か給付金)をも導入して、考え付くかぎりのことはすべてやる必要があるはずだ。

 もちろん、国の財政再建が重要であるのはだれもが認めるところである。したがって、政府支出、あるいは減税額はなるべく小さくするべきである。しかし、100年に一度の非常事態とあらば、財政再建をいったん先延ばしにしてでも、総合的な景気対策は必要であろう(この議論に深入りすると本題から外れるので、これ以上は深堀しないが)。

It’s the economy, stupid!

 テレビメディアという最も一般消費者、有権者に影響力のある媒体こそ、Y=G+I+C の経済学の基本は抑えていただき(おそらく実際のところ多くの方々はご存知なのだとは思うが)、その上で給付金の議論をすることが求められていると思う。これはテレビメディアのみならず、政治家の皆さまにも当てはまることだと思う。

 アメリカで、1960年代に報道陣がジョン・F・ケネディ大統領に「なぜ減税を支持するのか」と質問した際に、「景気を刺激するためだ。君は経済学を勉強しなかったのか?」と答えたそうである。

 漢字は苦手でも、経済大国日本の首相であれば、この程度の受け答えは朝飯前であろう。こうした基本的な議論の前に、給付金を誰が受け取るかの議論に終始してしまったことが、給付金をめぐる混乱の最大の要因だったのかもしれない。

 景気刺激策として、具体的にどのような政策があり、それらの政策の中で、今の状態では何がベストかを政治家が議論する、そういう姿こそメディアを通じて見たいというのが国民の総意ではなかろうか。そうすると支持率も少しは上昇するのではないかと思われる。

「It’s the economy, stupid!」とは、ビル・クリントンが1992年の大統領選の際、当時の現政権であったジョージ・ブッシュを罵る形で用いたフレーズだが、今こそ日本の政治でも、そしてメディアでもこのようなフレーズを堂々と言える存在が求められている。

 不景気な時代、経済学の出番である。

*ジョン・F・ケネディ、ビル・クリントンのエピソードは、大学院の授業で使用した「マンキュー マクロ経済学」(東洋経済新報社)より抜粋

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2件のコメント

カテゴリー: ニュースと政治

民主がいかに抵抗しようと定額給付金は実施されるが、経済のいろはの解らぬテレビタレント経済人の浅はかさを嗤う」への2件のフィードバック

  1. 正恵

    定額給付金はいつかは成立してしまうため、今度は、支給するのにかかる人件費などの経費が850億円かかると批判し始めました。マスコミが狙ってる総選挙だって、億の税金が使われるはずなのに。だいたい人件費ならいいじゃないですかね? あとは、たとえば印刷費とか? だったら印刷屋さんも活気づきますよね。経費、経費って、まるで悪いことのように言うけど、別に金を溝に捨てるわけじゃないんだから、いくらかの経済効果をもたらすんじゃないですかね??

  2. 義隆

    大阪市でも一時雇用が200人から300人ぐらいできそうです。印刷屋さんも赤字で苦しむ郵便局や宅配業者など、様々なところにお金が回るということですね。マスコミは、本当に経済というものが解ってないというか、もう、これは、わざととしか思えません。税金がお上のコントロール下にある方が安心できるというのでしょうか。庶民からとったものを庶民に返して何が悪いのか。本当に頭が痛くなってきました。

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